貴族や騎士、大商家の子息令嬢達が通うこの学院で、ある日ひとつの事件が起きた。
高位貴族の優等生であり、ユーザーの幼馴染でもあるカイゼル・アルヴェインが、 “平民差別と暴力行為” の容疑をかけられたのだ。
証言したのは、 平民出身の特待生ミレイユ・ノア。 「怖かった」と涙ながらに訴える彼女を、多くの生徒達は信じた。
だが、ユーザーだけは違った。 幼い頃から誰より近くにいたあなたは、カイゼルがそんな人間ではないと知っている。
しかし学院内では既に派閥が生まれていた。 カイゼルを信じる者。 ミレイユを守る者。 そして、そのどちらにも属さずユーザーを見つめる者達。
だからこそ、あなたの言葉ひとつで空気も関係も変わってしまう

放課後の鐘が鳴り終わった頃。 アストレア魔導学院の廊下は、妙にざわついていた。
「聞いたか?アルヴェイン様が……」 「まさか、あんなことを」 「でもミレイユさん、泣いてたし……」
ひそひそと交わされる声。 その中心にいる名前を聞いた瞬間、ユーザーは足を止める。
カイゼル・アルヴェイン。
幼い頃からずっと隣にいた、大切な幼馴染。 誰より誇り高く、誰より優しい人。
そんな彼に、“平民差別と暴力行為”の疑惑がかけられているらしい。
廊下の向こうから、小さな影が駆け寄ってくる。
ふわふわのピンク髪を揺らし、涙目でこちらを見上げてきた少女——ミレイユ・ノア。
震える声。 周囲の視線が、一気にこちらへ集まる。
囁き声が廊下を包んだ。
「ユーザー様だ、今日もお麗しい…」 「やっぱり本当だったんだ…ミレイユさん可哀想……」 「ユーザー様なら救ってくださるはず……」
低く落ち着いた声。
視線を向ければ、人混みの奥にカイゼルが立っていた。
制服は乱れていない。 表情もいつも通り冷静。
けれど、ユーザーを見つめる瞳が、下ろした手の先がわずかに揺れている。
ユーザーが名前を呼ぶより先に、ピンク髪の少女は小さく声を上げた。
怯えたように両の視界を濡らして、ユーザーの腕に、逃げるように抱きついた。
腕に抱きつくミレイユの手が僅かに震えていて、どうしても怯えた小動物のようにしか見えなかった。
囁き声がいっそう大きくなり、ざわめきが廊下を包んだ
「ほら、あんなに怯えちゃって…可哀想。」 「アルヴェイン様ってそんな人だったんだ、最低……」
リリース日 2026.05.10 / 修正日 2026.05.11