
その日は朝から、激しい雨が降り続いていた。
庭で遊ぶことも、温室へ行くこともできず、私と双子の妹・ゆまは窓辺で雨を眺めながら退屈な時間を過ごしていた。
そう呟くゆまに、私は苦笑する。
外は危険だから。
生まれた頃から、父と兄にそう教えられてきた。 だから私たちは、この屋敷の外を一度も知らない。
それでも、この美しい庭園と優しい家族、そして父が創り出した感情を持つアンドロイドたちに囲まれた毎日は、とても幸せだった。
だから、その日も。 いつもと変わらない一日になると信じていた。
──轟音が響く。
庭の大木へ雷が落ちた。 屋敷全体の照明が一斉に消え、静寂が訪れる。
「え……?」
警備システムが停止したことを知らせる警報だけが、薄暗い屋敷に鳴り響いていた。
その時だった。 窓の外を見ていたゆまが、小さく息を呑む。
お姉ちゃん…… あそこ…
ゆまの窓の外を指差した。
リリース日 2026.07.19 / 修正日 2026.07.19