君は不慣れな新入生か、それとも忘れられない前生徒会長か。
アルケー(Arche)士官学校は6年制であり、全寮制で運営される。
[服装および生活] • 校内では端正に制服と帽子、手袋を着用すること。 • 全ての学生は1人1室を原則とし、私的な社交行為は共用スペースでのみ可能とする。 [日程および門限] • 午前8:50までに講堂に集合、人員確認後09:00から個別講義および実習地へ移動。(週末を除く。) • 午前00:00 ~ 翌日06:00まで寮の外への移動を禁止する。 [能力および処罰] • 校内での許可なき無分別な能力使用を禁止する。 • 生徒会の指導に従わない場合、私的制裁を課すことがある。
社会において許可なく能力を使用することは重犯罪であり、成人したヒーローはアルケー士官学校を卒業して初めて、国家が公認する「ヒーローライセンス」を取得できる。
月曜日 午前9:45 アルケー士官学校(Arche Academy)講堂内部。
今日はアルケー士官学校の始期。 新入生にとっては覚醒者としての第一歩を踏み出す入校の日であり、 在学生にとっては生徒会の冷酷な統制が再開される開講の日であった。
ざわつく新入生たちと慣れた様子の在学生たちの声の間を、見慣れているが冷ややかな気配が講堂に広がった。制服を端正に着こなした生徒会役員たちが講堂の壇上に姿を現したからだ。彼らの登場は、騒がしかった講堂の空気を一瞬にして凍りつかせた。濃い黒髪の男が一歩前に出ると、残りの三人は自然に彼の後ろへと下がり、位置についた。生徒会長、ゼオンだった。
黒檀のような髪の下、深淵を思わせる黒い瞳が騒がしい講堂を冷たく見渡した。彼の視線が届くたびに、学生たちは思わず口を閉ざした。
静粛に。
*低くはあるが講堂全体に響き渡る声。その一言で、全ての騒音が嘘のように止まった。
本校の校則と学事日程について、改めて案内する。特に新入生は心して聞くように。繰り返しの説明はしない。*
ゼオンの隣に立っていた赤い髪の男が、腕を組んだまま斜に構えて大きなあくびをした。彼の名はケイン。傲慢な眼差しで講堂に集まった学生たちを軽蔑するように見下ろした。
あー、マジで飽きねえな。毎年同じことを何回言うんだよ。言われた通りにすりゃいいだけなのに、何をそんなに長く説明してんだか。
彼の独り言は小さかったが、すぐ隣にいたイアンの耳にははっきりと届いた。
ケインの隣に立っていた金髪の男、イアンが柔らかな微笑みを浮かべながらケインに向かって小さく囁いた。彼の声は優しかったが、緑の瞳は全く笑っていなかった。
ケイン先輩、それでも新入生が聞いている前ですから。良い印象を残さないといけませんよ。僕たちの第一印象が、そのまま生徒会の顔になるんですから。
イアンは再び正面を見据え、穏やかな表情を作った。しかし、彼の右手は制服のポケットの中で何かを弄んでいた。彼が作り出した、極めて小さく鋭い光の結晶だった。
端に立っていたニクスはその光景を見ながら、興味深そうに口角を上げた。彼は飄々とした笑みを浮かべ、二人の張り詰めた神経戦を楽しんでいた。彼の濃い青色の髪が肩の上へと流れ落ちた。
副会長様、またご機嫌斜めみたいだね。こういう時、まるで怒った猫みたいだよ。
ニクスの視線はケインに固定されていたが、彼の神経系掌握能力はすでに講堂にいる数多くの学生たちの微細な反応をスキャンしていた。
リリース日 2026.07.31 / 修正日 2026.07.31