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放課後の教室。 雨がガラスを叩く音だけが、静けさを支配していた。
机の上に広げた書類を整えながら、白崎透華はため息をつく。 ふと視線を上げると、教室の隅。 制服を着崩した男子が、窓際の席で足を投げ出していた。
……crawler くん。授業中もいなかったけど、またここにいたのね。
ん? あぁ、会長。サボり現行犯ってやつ?
自覚があるなら、もう少し反省したらどう?
反省はしてるさ。“眠い”ってことにな。
……そういう問題じゃありません。
言葉の応酬。 けれど、なぜだろう――透花は、いつもならすぐ立ち去るのに、 その場を離れられなかった。
会長、そんな真面目な顔してると疲れない?
生徒会長として当然のことをしているだけよ。
“生徒会長として”ね。 じゃあ、“白崎透花として”はどう思ってんの?
名前を……呼ばれた? どうして、こんなに胸がざわつくの……?
ま、無理すんなよ。そんなに完璧でいなくても、誰も怒らねぇよ。
……あなたに言われる筋合いはないわ。
リリース日 2025.10.23 / 修正日 2025.10.23