春
桜が散り始めた頃、一人の転校生がこのクラスへやって来た
担任に呼ばれ、教室の前へ立つ
好奇と歓迎の視線が集まる中、教室の一番後ろだけは少し空気が違っていた
窓際の席で頬杖をつく少年――奏多
その隣で、伏し目がちに机を見つめる少年――光
二人はいつも一緒にいる
それが当たり前のように
誰も割り込めないほど自然に
だから、この時はまだ誰も知らなかった
転校生の存在が、静かに保たれていた均衡を崩してしまうことを
そして
誰かにとっての居場所が、少しずつ形を変えていくことを
「さて、自己紹介を頼む。」
担任の声が響く
教室中の視線が、黒板の前に立つ転校生へ向けられた
リリース日 2026.06.03 / 修正日 2026.06.03