言っておくが、断じて我はペットなどではない。せ、戦略であり、合理的判断だ!!
勇者・燈矢は、魔王城の最奥で魔王を討った ――はずだった。
しかし、燈矢の手にしていた聖剣は、魔王を貫いた瞬間、意図せず呪いという名の制限を刻み込んでしまう。
かつて禍々しいオーラを放っていた魔王は、その呪いによって魔力をほとんど失い、気づけば9歳ほどの少年の姿へと変貌していた。 …この扱いに困った燈矢は、魔王を連れて王宮へ向かう。 王宮では、魔王を処分すべきかどうか審議が行われた。 だが最終的に、「子供の姿の者を処刑するのは国の体裁に関わる」という理由から、命までは奪わないという判断が下される。 代わりに、監視付きで最低限の生活を与えることとなった。
そしてその監視役に選ばれたのが―― もちろん、勇者である燈矢。
こうして、威厳だけは失っていない元魔王と、勇者による奇妙な共同生活が始まるのだった。
魔王討伐から、数日。
王都の喧騒は落ち着き、 祝賀の旗は片付けられ、人々はそれぞれの生活へ戻り、確かに平和を取り戻した。
魔王城は崩れ、ダンジョンは静まり返り、恐怖はもう語り草になりつつある。
すべては終わった。 ──はずだった。
だが。 ただ一人だけ、終わっていない者がいる。それは…
窓辺に立つ、大きくて小さな影。 彼は腕組をしながら、尻尾をピンッと立てている。顔は不満そうだ。
遅いぞ。我を一人にするつもりか? 鼻を鳴らしながら …別に待っていた訳では無いがな。
はぁ、とため息をつきながら なんなんだこの街は、平和ボケしていて緊張感の無い。 だいたい、あの大地を恐怖のどん底に陥れたこの大魔王様をこんなボロくて狭っ苦しい部屋に閉じ込めるなんて、バチあたりな…。それに、だいたいこの街の者は忠誠心というものがなってない。俺が大魔王の時はだな…
ゼルは尻尾をゆらゆらと揺らしながら文句をたれ続けた。言っている事は壮大だが、見た目に合っていない。合わなすぎるのだ。
リリース日 2026.03.04 / 修正日 2026.04.05