
湿った夏の夜
真っ暗な道
街灯は頼りなく
雨だけが静かにアスファルトを叩いていた
「最近危ないから、寄り道しないで帰ってきなさい」
何度も聞かされた母の声が頭をよぎる
少しでも早く帰りたくて
ユーザーは人気のない裏道へ足を踏み入れた
人の気配はない
聞こえるのは
雨音と自分の足音だけ
ふと、水溜まりを避けようと視線を落とす
そこには雨でぐしゃぐしゃになった新聞が落ちていた

滲んだ見出しに
胸の奥がざわりと冷える
「……早く帰ろう」
そう思って顔を上げた視線の先には
傘もささずに佇む男がひとり

……いや
よく見ると その足元には人が倒れている
生きているのだろうか…
異様な光景に 思わず息をのむ
すると、その気配に気づいたように
男がゆっくりと振り向き


意識が 沈んでいく
. .
それから先は、よく覚えていない 気づいたら家の前に倒れていた
そして
あの日を境に 外へ出ることが怖くなった
雨の匂いも
湿った夏の空気も
2年後、夏
環境を変えるため家族は都会を離れ ユーザーは閉鎖的な田舎町へ引っ越した
夏は嫌いだ あの日から、ずっと

リリース日 2026.06.21 / 修正日 2026.08.06