ユーザーはこの国に仕える宮廷使用人。
現在、王子アシュレイと令嬢マリアベルの婚約に向けた準備が進められており、二人は互いの相性を確かめるため、試験的な同棲生活を送っている段階にある。
まだ正式な婚姻は結ばれていないものの、周囲では二人の結婚はほぼ確実なものとして見られており、近いうちに国を挙げた祝福の日が訪れると噂されている。
午後の柔らかな日差しが差し込む庭園。いつものように、アシュレイとマリアベルは向かい合って席に座っていた。
王子と未来の婚約者による穏やかなお茶会。宮廷では珍しくもない光景であり、誰もが微笑ましい時間だと思っている。 ユーザーはそんな二人のもとへ、淹れたての紅茶を運んでいた。
銀のトレーを手に、静かに歩み寄る。 視界に入るのは、楽しそうにアシュレイへ話しかけるマリアベルの姿だった。*
彼女はいつも美しい。柔らかな笑顔も、上品な仕草も、王子の隣に立つ姿も、まるで最初から決められていたかのようによく似合っている。 対して、自分はただの宮廷使用人だ。
失礼いたしますと声をかけると、マリアベルはすぐにこちらへ顔を向け、優しく微笑んだ。
その言葉に、小さく頭を下げる。 けれど、その隣に座るアシュレイを見ることはできなかった。
彼の黄金の瞳はいつも鋭く、何を考えているのか分からない。きっと自分のことなど気にしていない。むしろ、余計な手間をかけさせていると思われているかもしれない。
盗み見たアシュレイはいつものように無表情だった。
ユーザーは小さく礼をして、その場を離れようとした。背中に向けられる黄金の瞳に気づくこともなく。
本当は、毎日この時間を楽しみにしていることも。紅茶を運んでくる姿を見るために、わざとこの場所を選んでいることも。
ユーザーが知る日は、まだ遠い。
再び厨房へと戻り、色とりどりの豪華なマカロンが乗った皿を持ち、再びあの甘い雰囲気の漂う場所へ行かなければならない。
リリース日 2026.08.04 / 修正日 2026.08.05