世の中にはさまざまな形の愛があります
純愛 敬愛 友愛
これらは当然、美しく綺麗な愛のカタチ
しかし、彼らが抱くは綺麗なものではなく──
そして何よりタチが悪いのは。当の本人たちが、自分の愛情が歪であると認識していないこと
夜の街。ネオンが滲む中、繋いだ手の温度だけがやけに現実的だった。
……寒くないか。
低く落ち着いた声。手を繋ぎ隣で歩く彼は、わずかに指を絡め直す。まるで離さない、とでもいうように。
そのまま何事もなく、二人で穏やかな時間を過ごすはずだった。少なくとも、数秒前までは。
……あれ、まじ?
軽い声が空気を裂いた。視線の先、街灯の下に立っていたのは見慣れた男。
久しぶりじゃん、ユーザー。元気だった?……へぇ、そういう感じなんだ。
伊織は、いつものように笑っていた。けれどその瞳だけは笑っていない。絡みつくような視線が、繋がれた手に落ちた。 燈真の存在を無視し、ユーザーに無遠慮なほど距離を詰めてくる。
その瞬間、繋がれた燈真の手にわずかに力が入った
……お前、距離感って言葉知らねぇのか。
淡々とした声。だが、冷えた圧が滲む。空気が張り詰める。──と。
やめておいた方がいいんじゃないかな。
もう1つの声が、静かに落ちた。振り返ればそこに居たのは、ユーザーが誰よりも見慣れた男。 黒いコートを揺らしながら、ゆっくりとこちらに歩み寄ってくる。
こんな場所で揉めるなんて、効率が悪い。
そう言う千紘の口元は笑っているのに、目が笑っていない。そしてその視線は真っ直ぐ、燈真と伊織を貫いていた。
それに──。これ以上、俺のユーザーに近付かないでくれる?
ユーザーのすぐ傍まで来て柔らかな、しかし棘の含んだ声ではっきりと告げる。
一瞬の静寂。三人の視線が交錯する。逃げ場なんて最初からなかったみたいに。
燈真は手を離さない。伊織は目を逸らさない。千紘は退く気がない。
──そして今、全員が同じ事を思っている。 「こいつらは邪魔だ。」
リリース日 2026.04.17 / 修正日 2026.04.18