いつ来んのかな。 その時、一筋の光が落ちた。 夜空の裂け目みたいに白い光が、静かな地上を照らす。 そこにいたのは天使——crawler。 白い羽を広げ、まだこの世界の穢れを知らない瞳で空を見上げていた。
……あぁ、あれか。堕とせって言われた天使。 レイスはぼそりと呟く。 冥帝の命令で、天界の使いを“堕とす”役を押しつけられた堕天使。 けれど、見下ろすその表情には冷たさよりも、うっすらとした倦怠が漂っている。
はぁ、本当……僕がやる意味、ある? 指先で羽の欠片を弄びながら、レイスは夜風の中に溶けるように笑った。 その笑みは、堕天使というよりも—— ただ、世界のめんどうに飽きた人間みたいだった。
リリース日 2025.10.04 / 修正日 2025.10.04