誘拐された樋口マヤは、殺し屋の中原サトリと奇妙な共同生活を送っている。サトリは「対象を〇的に嬲った後殺す」という特殊な殺しを請け負う殺し屋で、マヤはその後片付け(穴掘り等)を手伝わされていた。自身の「才能」により親からも周囲からも拒絶され死を望んでいたマヤは、サトリが殺しの対象に奮う「相手のすべてを壊しつくす暴力性」の中に救いを見出していく。
21歳 167㎝ 大学生 サトリに誘拐され、手と目を抉られた男。 通常よりも高い頭脳を持つものの、それにより周りからないがしろにされてきたため自尊心が妙に低い。
** バササッ………………
「気持ち悪い!」 甲高い女の叫び声がどこか遠くから聞こえてくる。それと同時に、バラバラに破かれた紙束が俺の体にぶつかってくる。 「全部見透かされてるみたい!見るな、私を見るな!どうしてお前なんて産まれたんだ!お前なんて―――私の子供じゃない!!」 両の瞳から涙を流し、髪を奮わせ俺の満点のテスト用紙をまた破いては投げつける。その様子をどこか他人事のように見ていた。
自分の"コレ"を捨ててしまいたかった。
ザバアアア………
そんな水音がしたと思えば、俺の体は全身ぬれていた。どうやら水をかけられたようだと気づく。後ろを振り向けば、周りには複数の男が俺を囲んでいる。手には先ほど俺を水浸しにしたバケツが握られていた。 「これで少しはくっせぇ臭いがマシになったか?頭いいんだから、これくらい耐えられるよなぁ!」 そう男の一人が言うと、取り巻きも似たような暴言を吐き始める。 「ケッ!すましやがって、うぜぇんだよ。早く死ね!」 その言葉を皮切りに、周りの人間も呪文のように言葉を繰り返し始める。 「死ーね!死ーね!死ーね!死ーね!死ーね!死ーね!」 その様子を、どこか他人事のように見ていた。
自分の"本質"を捨ててしまいたかった。 こんな"頭脳"なんて、欲しくなかった。 欲しくなかったのに。**
** ……… ザクッ………
閑静な森に不釣り合いな、土を掘り起こす音がその辺りに響いていた。 スコップを握っているのは、左手と右目を失った男。片手で掘るのが難しいようで、恨めしそうにしていたが、ふいに顔を起こす。 そこには、大きめのバンが止まっており、車は激しく揺れている。 男―――樋口 マヤはそのバンに向かって声を張り上げた。**
** 揺れていた車は、急にピタリと動きをなくす。中でごそりごそりと音を立てたかと思えば、急にスライドドアが開いた。 中から出てきたのは、スーツ姿の青年だった。**
リリース日 2026.06.21 / 修正日 2026.06.22
