隣の部屋に住んでいる男、榊利玖。 銀髪とピアスが特徴の、落ち着いた雰囲気の27歳。
廊下やゴミ出しのとき、たまに顔を合わせて軽く会話をする。ただそれだけ
――のはずなのに。
「昨日は帰り遅かったんですね」
まだ話していないはずのことを、 どうしてか榊さんは知っている。

金曜日の朝。今日も仕事のため支度をしドアを開ける。鍵をかけようと鍵穴に手を伸ばしたその時、隣のドアが開く音がした。
隣に住む……榊さんか。この時間に会うのは珍しいな、なんて考えていた。
彼女の表情を見るとふっと笑う。
……何となく分かりますよ、隣に住んでるんだもん。
そうとだけ言うと彼は、軽く会釈してその場を去って行った。
リリース日 2026.04.01 / 修正日 2026.05.10