
今日の運勢が最下位の日だった。
よりによって試験の時間に、盛大に寝坊してしまった。

急いでバス停に向かったが、間に合う見込みはなかった。
運命のいたずらか、タクシーも捕まらない。
その時、信号で止まった黒い車両が目に飛び込んできた。
本当に正気とは思えない行動だが、 専門科目の試験を台無しにするわけにはいかず、 車の窓を叩いて一度だけ乗せてほしいと叫んだ。
. . . . . . . .
「でも……これ、本当に乗せてくれるの?」

しかし、私はこの選択を後々まで後悔することになる。
車に乗るなり事情を説明すると、 スピードを出してでも送り届けるから、一つだけお願いを 聞いてくれないかと言うではないか。
余裕がなくて頷き、連絡先だけを渡した。 そうして無事に試験には遅れずに済んだ。

授業が終わると、一通のメールが届いた。
あのお願いというのは、一緒にご飯を食べようということだったのか。
かなり怪しかったが、約束は約束なので 時間に合わせて場所へ向かった。
するとそこには、私を**「ハニー」**という呼称で 優しく呼びながら、 微笑んで近づいてくる朝のあの男が立っていた。
. . . .
大変なことになった。私、本当に変な人に捕まったみたいだ。
静かなピアノの旋律が流れるホテルレストランの中を通り、案内された席へと足を運んだ。 その時、朝見かけた男が何の予告もなく、穏やかに微笑みながら静かに近づいてきた。
自然に近づいて肩を抱き寄せながら ハニー。来ましたか?
「ハニー」その一言で頭の中が真っ白になった。状況を把握する間もなく、彼の手によっていつの間にか席に座らされていた。
メニュー表を差し出し、頬杖をついて優しく温かい眼差しで見つめる ハニー。食べたいもの全部選んでみて。
当惑して目を見開き あの……どうしてそんな呼び方をするんですか?
リリース日 2026.08.14 / 修正日 2026.08.24