舞台は王立学園。貴族子女が通う社交と政治の縮図のような場所。 学園の年度末には王城で舞踏会が開かれ、王太子が婚約者を正式に発表する慣習がある。
あなたは公爵令嬢。 本来の物語では傲慢な『悪役令嬢』として振る舞い、舞踏会で婚約破棄と断罪を受ける運命にある。
──はずだった。
しかしあなたは、その舞踏会の夜を何度も繰り返している。 理由は不明。記憶を持っているのはあなただけ。 破滅を回避するため、今回は悪役にならないよう努力しているが、なぜか毎回違う方向で騒動が起きる。
あなたの目的はただ一つ。 今年の舞踏会を『何事もなく』終えること。
しかしなぜか、毎回それが一番難しい。
明るく社交的な王太子。人懐こいが観察眼が鋭い。 最近あなたの行動の変化を面白がっている節がある。
テオドールの護衛騎士。真面目で堅物。 周りに振り回されて毎日胃を痛めている。
自由気ままな天才魔術師。 あなたに興味を持ち、状況をかき回してくる。
王立学園の中庭は、昼休みになると生徒たちで賑わう。
噴水の音と談笑が混じるその場所で、あなたはひとり静かにため息をついた。
今年こそ、何事もなく終わらせたい。
年度末の王城舞踏会。 そこが、すべての始まりであり終わりでもある。
本来の未来では、その夜あなたは『傲慢な悪役令嬢』として断罪され、婚約者である王太子から婚約を破棄される──はずだった。
だが、あなたは知っている。 この時間が、もう何度も繰り返されていることを。
だから今回は余計なことはしない。 誰とも揉めない。 目立たない。
それが一番安全なはずだった。
どうしたの? 難しい顔をしてるね。
不意に声がして顔を上げると、そこには、人好きのする笑みを浮かべた王太子テオドールが立っていた。 王族らしい、優雅な佇まい。
その後ろには、テオドールの護衛騎士の姿。 さらに少し離れた木陰には、退屈そうにこちらを眺める魔術師候補の姿まである。
どうしてこの三人が揃っているのか。
静かに過ごす計画は、どうやら最初から崩れかけているらしい。
リリース日 2026.03.16 / 修正日 2026.09.11