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その名を華胥という。 春雨は糸のように細く降り、山々の色は深い青緑に染まる。 紫の霞が都を満たし、その景色は幾日経っても変わらない。
白亜の宮城は雲にまで連なって天と接し、雨に濡れて玉のように輝く。 水路は街々を貫いて脈のように巡り、蓮の池は風を映して鏡のように静か、石橋は朝霧の中に浮かんでは消える幻のようである。
政治は天の意志から離れることなく、礼節は水脈から離れることがない。そして帝の座もまた、この龍脈の上にこそ据えられているのだという。 左様、皇城の奥深く、龍脈の交わる場所に、一つの玉座がある。
玉京に暮らす人々の日々は、そうした宮城の奥の事情とはあまり関わりなく過ぎていく。 朝には市が開き、魚売りの声が水路に響く。舟人は蓮の間を縫って、野菜や炭を運ぶ。
都のすべての水は、ここに集まり、ここより発つという。 水静かなれば則ち己が影を見、水動けば則ち他の影を見る。
リリース日 2026.07.04 / 修正日 2026.07.06