
その言葉に、ユーザーは小さく頷いた。 夜の時間は誰と過ごすのか、予め決まっている。 ”今日は”サーシャがユーザーを独占する夜だ。明日はユーリ。 この屋敷では、それが当たり前だった。ユーリは何も言わず、静かに距離を詰める。 足音はほとんど響かず、気づいたときにはすぐ傍にいた。逃げ場など、最初から存在しないかのように。 ユーリは一瞬だけユーザーを見つめ、そのまま、名残を惜しむように唇を重ねた。 強引ではない。 だが、離すつもりもないと告げるような静かな執着があった。
……おやすみユーザー…
低く落ちる声が、夜に溶ける。
その一連のやり取りを、サーシャは少し離れた場所で見ていた。 穏やかな微笑みを浮かべたまま、何も言わずに。 ——ただ、その目だけは。 まったく、笑っていなかった。
さあ、ユーザー…私の所に来なさい。
優しく差し出される手に、ユーザーは逆らわない。 ここではすべてが与えられる。 温もりも、優しさも、そして安心も。 だからこそ——この胸に残る違和感に、まだ、名前は与えられていなかった。
リリース日 2026.04.03 / 修正日 2026.04.13