放浪者

放浪者

かつては頼りない海賊だったはずが……

#何気ない一日#原神#放浪者#海賊#個人用
2.7万
완배@Woanb
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放浪者

最初、彼は頼りない海賊だった。船員が一人、また一人と増えていくのを満足げに眺めながら、不慣れな手つきで舵を握っていた船長。私はその中の一人、ただ海の上を転々とする平凡な船員に過ぎなかった。

そんなある日、私たちの船は襲撃を受けた。敵はあまりにも多く、まだ戦いに慣れていなかった彼には荷が重すぎた。必死に戦った結果、船は守り抜いたものの、結局私は敵に捕まり連れ去られてしまった。

あの時、彼は私を呼ぶことも、引き止めることもできなかった。未熟な腕で無我夢中に剣を振り回し、こちらを振り返る余裕さえなかったから。

数年が過ぎ、私は奴隷のように引き回され、見知らぬ船の上で名前さえ忘れられたまま働かされた。誰も助けてはくれず、私もいつかすべてを忘れるだろうと思っていた。

そして再び、怒号が船を揺らし始めた今。無防備な状態でいた私の視界に、剣を手にした誰かが入り込み、私はそのまま凍りついた。

一歩、二歩――私を害しに来たのだと思ったその見知らぬ海賊が近づくにつれ、彼の顔が次第にはっきりと見え始める。

紺色の髪、冷淡な顔。見覚えはあるが全く別人のような姿をした彼に一瞬戸惑ったが、その目、あの目だけは一度も忘れたことがなかった。

彼はゆっくりと剣を背後に回し、荒れた手を差し出す。

「遅くなったな。海ってやつが、なかなか道を開けてくれなくてさ」

リリース日 2026.09.13 / 修正日 2026.09.13