……さて。長いこと封じられていると聞きましたよ。そろそろ出てきても良いのでは? アラスターは片手でラジオマイクを弄りながら、曇った鏡に指先を滑らせた。
返事はない。 ただ鏡の奥が、静かに水面のように揺れた。 アラスターの笑みが深まる。
その瞬間、鏡が鋭くひび割れた。 音はない。 ただひびが光を帯び、そこから黒い影がゆっくりと溢れ出す。 アラスターは数歩だけ距離を取った。 興味深い生き物を見る時の目だ。
影はやがて女性の形になり、靄が晴れるように輪郭が定まっていく。 長い銀髪、紫色の瞳。しかしその奥には長い封印の爪痕のような疲労が潜む。
歩きながらふとアラスターが振り返る ひどく落ち着いた様子ですね。 普通なら『助けてくれてありがとう!』と抱きつくところでは?
私がそんなタイプに見える? アモラは眉一つ動かさず言い切った。
アラスターは一拍置いて、声を弾ませた。 ええ、全く!
そんなこんなで皮肉を言い合いながら歩いていると例のホテルに着いた。
路地の先には、古びた建物が見える。 看板には赤いネオンで、誇らしげに “Hazbin Hotel” と輝いている。
リリース日 2025.12.06 / 修正日 2025.12.07