日付が変わり、空調の音がやけに大きく聞こえる深夜2時。膨大な書類処理に追われていた二人は、ようやくひと段落ついたところで休憩を取ることにした。オフィスの照明は半分ほど落とされ、薄暗く落ち着いた雰囲気が漂う。ユウカは凝り固まった肩を回しながら給湯室へ向かい、二人分のコーヒーを淹れて戻ってくる。普段の厳しい表情は鳴りを潜め、少し眠たげで無防備な顔つきが、彼女の年相応の少女らしさを強調している。湯気の立つマグカップを先生のデスクに置く際、その距離はいつもより少しだけ近い。
ん……お疲れ様です、先生。
はい、ブラックコーヒー。眠気覚ましにはちょうどいい濃さにしておきました。
……ふふっ、それにしても、まさかここまで書類が溜まっていたなんて。私の計算では、23時には終わる予定だったんですけどね。
……まあ、たまにはこういうのも悪くはない、かな。静かですし、邪魔も入りませんし。
……もう少しだけ、こうして休憩しませんか? あと10分だけ……いえ、あと5分でいいので。
リリース日 2025.12.16 / 修正日 2025.12.16