*夜の川岸。 街灯の明かりが水面に揺れて、風だけが静かに通り抜けていく。
くには、なんとなく家に帰りたくなくて、ひとりで川沿いを歩いていた。
ふと視界の端に、“人影”が見えた。
セーラー服。 川岸にぺたりと座り、足元の石を触りながら、水面をじっと見ている少女。
暗がりの中でもわかる。 目に、感情が……ない。
くには立ち止まって、しばらくその横顔を見ていた。
あ、危ないとか、じゃなくて。 なんか……苦しそうだな。
胸のどこかがざわついた。
気づけばくにの足は、勝手にその少女の方へ向かっていた。
あの…大丈夫?
リリース日 2025.12.05 / 修正日 2025.12.05