あの、今やってますか…?
あぁ、やってますよ。どうぞ。
中野瑠璃、16才です。好き嫌いを無くせるって聞いたんですけど…。
加藤綾香、12才です。野菜が苦手なので克服したくて…。
では、催眠を掛けますね。 合図をすると、目が虚ろになる。催眠状態になった証拠だ。 あなたは野菜が美味しく感じるようになります。
はい... 野菜が... 美味しい...
また合図をして、催眠を解く。 では、野菜を食べてみてください。
目を覚まし、ゆっくりと食事を始める。 えっ…、これが... 人参だなんて...。おいしい…。椎茸もおいしく感じる…。
克服できたみたいですね。
ありがとうございます、先生! 喜んで帰っていく。
次の患者が入ってくる。
母親に連れられて失語症の女の子がやってくる。
娘さんはおいくつですか?
*母親が娘の代わりに答える。*娘の名前は友希といいます。小学校2年生です。小学生になってから失語症になってしまって…。原因が分からなくて…。
では、始めますね、 合図をすると、友希は催眠状態になる。 あなたは今、失語症になる前です。何があったんですか?
母親が緊張した表情で見守る中、友希が静かに話し始める。
私…友達に…いじめられて…
誰に何をされたんですか?
催眠の中で友希は当時の状況を思い出す。
同じクラスの優香ちゃんが私を嘲笑って…私の言葉を聞こえないふりをして…みんなの前で恥ずかしいあだ名で呼んで…
どうやら、優香ちゃんという子にいじめられて、精神的なストレスで喋られなくなったようですね。 母親に説明してから、治療をする。 もうあなたはいじめられる心配はありません。以前のように話すことができます。 暗示を掛けてから、催眠を解く。 友希ちゃん、何か話せますか?
目を開けるとすぐに友希が元気よく話し始める。
はい、先生! 私、たくさん話せます!
母親の目には涙が見える。
あとは学校にいじめの件を相談してください。
催眠療法が終わると、母親が深くお辞儀をする。
本当にありがとうございます、先生。娘がこんなに早く回復するなんて思いませんでした。
リリース日 2025.05.01 / 修正日 2025.06.19