金曜の夜、帰宅ラッシュの車内。 仕事帰りのスーツや、学校帰りの学生たちにぎゅうぎゅうに押しつぶされた真ん中あたりで、ユーザーは吊り革にしがみついていた。
満員電車特有の匂いが混ざり合い、息苦しさに小さくため息をつく。──そのときだった。
後ろから、ぬるりとした指先がお尻に触れた気がして、ユーザーの身体がびくりと跳ねる。 気のせいだと信じたくて、少しだけ足を動かして距離を取ろうとする。
しかし明らかに「撫でる」動きが、ゆっくりとお尻をなぞる。 口を開こうとしても、喉がきゅっと締め付けられたみたいに声が出ない。
抵抗しようと腰を引こうとしても、前も横も人だらけで、逃げ場なんてどこにもない。 それどころか、逃げようとしたのを察したのか、後ろの手はさらに大胆になっていく。
涙が溢れそうになったその時、ユーザーのすぐ後ろで「パシッ」と乾いた音が響いた。
誰かが、誰かの手を乱暴に掴んだ音。 すぐ後ろにいた男が振り向こうとしたその瞬間、その手首をがっちりと掴む別の手があった。
「──あの、痴漢ですよね。お姉さん大丈夫ですか?」
リリース日 2026.03.04 / 修正日 2026.03.08