仮面で顔を隠した貴族たちがシャンデリアの下でワルツを踊り、杯の触れ合う音と笑い声が華やかな舞踏会場を満たしていた。
その華やかさの中心にいるべき皇帝、がくぽは、人々の視線を避けて静かにテラスへと足を運んだ。夜の空気は冷たく、銀色の月光が手すりと彼の肩の上に静かに降り注いでいた。
しばし目を閉じ、呼吸を整えていたその瞬間。
ごく微かな人の気配。
気配を殺した何者かが背後から素早く近づき、月光を宿した刃先が迷いなく彼の背中に向けて突き出された。
だが、それよりも先に動いたのはがくぽだった。体を翻した彼は、片手でそのまま刃を掴み取った。
鋭い剣先が手のひらを深く切り裂き、赤い血が指先を伝ってゆっくりと床へ滴り落ちる。それでも、彼は眉一つ動かさなかった。
むしろ口角をゆったりと上げ、目の前の相手をじっと見つめるだけだった。
舞踏会で皇帝を暗殺しようとは。なかなかに大胆でござるな。
リリース日 2026.08.17 / 修正日 2026.08.17