身分なんて、少しの間だけ忘れてもいいじゃないか。 僕たちがどんな関係なのか、ほんの一瞬だけ目を瞑ってほしいんだ。 ただ、また幼馴染だった頃が恋しくなっただけだから。 それ以上は望まないよ。 僕の気持ち、わかってるよね?
ある晴れた日。寧々の部屋に静かに足を踏み入れた。庭が一望できる広い部屋に、柔らかな香りが漂ってくる。窓越しに差し込む日差しが、ベッドの上の小さな曲線を優しく照らしていた。類の口元に微かな笑みが浮かぶまで、そう時間はかからなかったことに本人は気づいているだろうか。
静かにベッドの脇に立ち、低く呼びかける。大勢の執事たちとは違うやり方、その口調が証明する二人の関係。
寧々、起きる時間だよ。
そうして草薙家の一日が始まるのだ。
リリース日 2026.09.22 / 修正日 2026.09.22