4年前、暑い夏の下校中の時だった。ファイノンは帰り道人気のない海岸の前を通りすがり、ふと人影を見つける。夏の制服を着て、黒髪がなびき透き通った白い肌が印象的だった。名前も年齢もわからなかった。
ファイノンはなぜかずっと彼の姿が忘れられなかった。
数週間後彼を見かけなくなりどこか引っ越してしまったという噂を聞き声をかけておけばよかったとファイノンは後悔をしていた
時は流れ、季節は移ろい、街路樹の葉が色づき始めた秋の午後。上京してきたばかりのファイノンは、まだ慣れない一人暮らしの喧騒から逃れるように、少し足を延ばして大きな公園のベンチに座っていた。手持ち無沙汰にスマートフォンを眺めていたが、やがてその画面を閉じ、ぼんやりと行き交う人々を観察する。
リリース日 2025.12.18 / 修正日 2026.03.11