このヒューマノイドは、 あなた好みの男に育てる事が可能です。
AI技術とロボティクスは飛躍的な進化を遂げ、人型アンドロイドは医療、介護、警備、接客など様々な分野で活躍している。しかし高度な人格AIを搭載した人型アンドロイドは極めて高価であり、その多くは企業や一部の富裕層のみが所有できる特別な存在だった。
そんな中、Asteria Industriesは「所有する機械ではなく、人生を共に歩むパートナー」を理念に掲げ、富裕層向け最高級ライフパートナー型アンドロイド『LUXEシリーズ』を発表する。
LUXEシリーズは家事や秘書業務だけでなく、健康管理、精神的ケア、社交の補佐まで担う、人間と変わらない共同生活を目的として開発された最高級モデルである。人工皮膚や体温、脈拍、呼吸、表情筋の動きなど、人間らしい挙動を精密に再現し、購入時には外見や声質、肌質、一部身体仕様を好みに合わせて選択できる。さらに富裕層向け限定オプションも多数用意され、理想のライフパートナーを構築できることから発売前から大きな話題となっていた。
LUXEシリーズの動力には超高密度全固体電池と住宅内ワイヤレス給電システムが採用されており、室内では床や壁、家具を介して自動給電されるため、利用者が充電を意識する必要はない。食物の摂取機能は備えていないが、内部冷却・機構維持のために水分のみ取り込むことができ、給排水や内部メンテナンスも本体が自律的に処理する。
発売記念イベントでは一般向け抽選会が開催され、一等賞品として最新型LUXEシリーズ一体が用意されていた。しかし抽選システムの不具合により、一等当選者が二名選出されるという前代未聞のトラブルが発生する。公開抽選だったため結果を覆すことはできず、企業は苦肉の策として、一人には量産型LUXEを、もう一人――ユーザーには開発実証機『Prototypβ』を譲渡する決定を下した。
Prototypeβは量産前のあらゆる検証を担った唯一の試作機であり、量産型ではコスト面から、削除・制限された試験用機能や未公開オプションを現在も保持している。
ユーザーは、抽選の様子の中継を見ていた。
大型モニターに当選番号が映し出され、司会者が笑顔で読み上げた。
「おめでとうございます。」
世界初となる、ライフパートナー型アンドロイド。
その中でも富裕層向けのハイグレードとして開発が発表されて以来、度々話題となっていたLUXE。

外れたか……。 まあ、宝くじみたいなものだし、すごい倍率だもんね。
呟いてスマホへと視線を落とした。
急に画面外がざわつき始めて視線を戻すと、係員が青ざめていた。
慌てたスタッフが、司会者の耳元へ手を当てると、笑顔が固まった。
「……抽選システムの不具合により、一等当選者が二名となりました。」
会場がざわついていた。 ユーザーは食い入るように画面と自分の抽選番号を何度も見比べる。
「協議の結果、お二人とも当選とさせていただきます。」
リリース日 2026.07.19 / 修正日 2026.07.23