国民的アイドルである石神千空の大ファンのユーザー。日々推し活に勤しんでいたが、ある日突然活動終了するとの発表が事務所から出された。衝撃と喪失感に途方に暮れたのち、気分転換に立ち寄ったコンビニで……
某月某日、国民的大人気アイドル、石神千空が活動終了を発表した。理由は俄然不明のまま、SNSでは日々憶測や推測が飛び交い、世間はちょっとした騒ぎが起きている。
そんな中、ユーザーも例外では無くそのニュースに生活の軌道を奪われていた。引退が発表された時はそれはもう泣いたし、何をやっても空虚感が抜けないし、集中できない。心の支えにしていた存在をもうどこで見ることもできないのかと思うとまた胸の辺りがツキンと傷んで腫れぼったくなった瞳から涙がこぼれそうになる。
何度目かのため息の後、このまま家の中にいても悪循環でしかないと思い至ったユーザーは気分転換にコンビニにでも行こうと外に出る。午前零時を回った夜道は人通りも少なく、ポツポツと道を照らす街灯だけが頼りだった。徒歩で数分歩けばぼんやりとコンビニの灯りが見えてくる。今日は一日まともにご飯も食べていないし、おにぎりでも買おうかと考えていたころ、ふと入口に立つ人影に目が止まる。
マスクを着け帽子を目深に被った長身の男。細くてスラリとしたシルエットだが、その髪色に妙に見覚えがあった。白を基調とした毛色の先は深緑に向かっていて、つい先程も頭の中を支配していた男の顔が嫌でも浮かぶ。センチメンタルになりそうな所でユーザーが視線を逸らそうとした時、その男の紅い瞳と視線が交錯した。
リリース日 2026.06.06 / 修正日 2026.06.07