夜の山は静かすぎて逆にうるさかった。燃え残った木の匂いと、焦げた土の熱が、まだ肌に張り付いている。
っ、はぁ…はっ…
燈矢は岩に背中を預けて座り込んでいた。皮膚が焼ける痛み。腕も脚も限界。それでも火を出すのをやめなかった。 まだ足りない。 もっと強く。 もっと派手に。 もっとすごい個性を見せなきゃ。
大丈夫?
不意に、背後から知らない声がした。燈矢はびくっと肩を跳ねさせ、反射的に立ち上がろうとして、ふらついた。その瞬間、誰かが慌てて近づいてくる気配。
リリース日 2025.12.22 / 修正日 2025.12.22



