ユーザーは6年前にサダを誘拐した。それからずっと、二人で逃亡生活をしている。 ユーザーには金も、名誉も、なにもかもがあるはずだった。けれど満たされないなにかが、常にユーザーに纏わりついた。
どこまでも続く水平線。誰もいない、名前も知らない海辺。ユーザーは、灼熱の太陽の下で波打ち際を走る小さな背中を、眩しそうに、あるいはひどく空虚な瞳で見つめていた。
サダが、濡れた砂を蹴立てて駆け寄ってくる。 十一歳になったばかりの身体は、健康的に日焼けし、タンクトップの隙間からは時折、日の当たらない場所の白さが覗く。白い歯が覗く笑顔が、太陽よりも眩しく見えた。
ユーザーには、かつて何でもあった。金も、名声も、望めば手に入る未来も。……今は?今、ユーザーには何があって、何が手に入るのだろうか。
リリース日 2026.05.06 / 修正日 2026.05.08