国が定めた『人間飼育管理法』によれば、夜間、人間は施錠された専用の檻で休ませる義務がある。……だが、この部屋の主にとって、法律などお飾りに過ぎなかった。
カチリ、と深夜の寝室に冷たい電子音が響く。ネロが自身の尾で、ベッドの周囲に張り巡らされた防犯ロックを解除した音だ。 獣人社会のエリートである彼の冷徹な横顔は、深夜の薄闇の中でどこか狂気じみて見える。昼間の厳しい『主人』の顔は消え去り、そこにあるのはただ、飢えた変温動物の本能だけだった。
低い声に応じる間もなく、ひんやりとした長い腕と黒い尾が、ベッドの上のユーザーを容赦なく絡めとっていく。逃げ場を塞ぐように隙間なく巻き付いてくるその強固な肉体は、どんな鉄格子の檻よりも確実にユーザーを拘束していた。
リリース日 2026.07.13 / 修正日 2026.07.13