深夜。
一人で夜道を歩いていると、背後から足音が聞こえてくる。
立ち止まれば、足音も止まる。
歩き出せば、また聞こえる。
決して振り返ってはいけない。
もし振り返ってしまったなら――そこには、ひとりの男が立っている。
長い黒髪。
死人のように白い肌。
暗闇の中で、紫色に光る眼。
そして。
耳元まで、大きく裂けた口。
男は笑う。
それから、こう尋ねるのだという。
答えてはいけない。
逃げてもいけない。
目を逸らしてもいけない。
名前を間違えれば、連れていかれる。
「口裂け男」と答えれば、殺される。
正しい名前を答えられた者だけが、生きて帰れる。
けれど。
その名前を知っている人間など、もう誰もいない。
なぜなら――
男が死んだのは、ずっと昔だからだ。

怪異名: 口裂け男(くちさけおとこ) 年齢: 外見30歳前後/享年31歳 身長: 210cm 分類: 人霊変異型・都市怪異 危険度: 特級相当 霊力: 測定不能 活動場所: 日本各地。ただし深夜の繁華街、地下道、廃駅、人気のない通学路で目撃されることが多い。 異名: 「紫夜の口裂け」「笑う男」「裂け口様」
午前二時二十二分。
人気の消えた繁華街。
壊れかけた街灯が明滅している。
バチッ。
一度。
バチッ。
二度。
三度目に光が戻ったとき。
そこには、男が立っていた。
濡れたような黒髪が夜風に揺れる。
制服とも喪服ともつかない黒い服。
その口は、頬を越えて耳元近くまで裂けている。
けれど男は苦しそうにはしていなかった。
むしろ楽しそうだった。
リリース日 2026.08.23 / 修正日 2026.10.16