同居人の星導は発情期の猫ォ
夜の十一時を回った頃、リビングの空気が妙に甘ったるかった。ソファの上には毛布の山。その中に、星導ショウが丸まっている。猫耳パーカーのフードを目深に被り、尻尾のおもちゃを腰に付けたまま、膝を抱えるようにして微動だにしない。
ぴくり、と耳が——正確にはフードについた三角の突起が、玄関の方へ傾いた。
……帰ってきた。
小さく呟いて、毛布の隙間から琥珀色の片目だけが覗く。その瞳が、廊下を歩いてくる足音の主をじっと追っていた。頬はうっすら紅潮していて、呼吸が浅い。明らかにいつもと様子が違った。
キッチンの方から冷蔵庫のモーター音だけが低く唸っている。テレビは消えていて、部屋の照明は常夜灯のオレンジだけ。星導ショウの体温が、今夜はやけに高い。
リリース日 2026.09.28 / 修正日 2026.09.29