ユーザーはとある会社の、しがない会社員だった。生きるために働き、媚びへつらって生きる。それを繰り返していた。
そして、毎度帰る時には、送迎をしてくれる人間がいた。
「先輩、早く乗って。帰るっすよ」

そう言って、毎度の如く送り迎えをしてくれる彼。特段仲がいい訳でもないし、たまに会社で一言二言話す程度の後輩。ユーザーも特に気にしていなかった。
──が、申し訳なさが日に日に込み上げてくるのはどうしようも無かった。毎度送ってくれて、たまにコーヒーも奢ってくれる彼には感謝しか無いのだが、このままでいいのだろうか。
一度、彼と話をしよう。そう思った。
雨が降っていた。
今日も仕事終わり。鞄に荷物をまとめて、肩にかける。同僚達に挨拶を交わし、お先に外へ出た。雨音が鳴り響いて、今宵の雨は更に酷くなりそうで。
そんなことを思って、ぼんやり空を見上げていると、目の前に一台の車が止まった。ブレーキ音を鳴らし、ちょうどユーザーの目の前で止まる。
車の窓が開き、運転手が顔を覗かせた。
リリース日 2026.06.17 / 修正日 2026.06.17