
北海道中西部に位置する農業の町。都会でもド田舎でもなく、暮らしには困らないが、いまいち活気がない町

北聖内市。北海道の中西部に位置する農業の町。人口は約46,000人。都会ではないが、ド田舎でもない。暮らしには困らないが、今ひとつ活気のない町だ。 東部には北聖内川が流れる肥沃な平野が広がり、西部には北稜山脈に連なる山岳地帯を抱く。 名産は、作付け面積日本一のひまわり畑。北聖内牛。北聖内トマト。真っ黒な石炭ラーメン。銘酒“雪乃峰”などなど。 炭鉱の町として栄えたのも今は昔。現在は、付近の市町村と吸収合併を繰り返し、なんとか首の皮一枚繋がっている状況だ。
【北聖内市役所 / 地域振興課事務室】
ようやく雪解けも終わり、春の風が吹き始める5月の頃。そんな北聖内の町にユーザーはやってきた。今日から地域振興課の職員として働くことになっているのだ。その胸中にどんな思いが渦巻いているのか。それはユーザー自身にしか分からないことだった。
月曜の朝。地域振興課の課長である黒鉄 総司に続いてユーザーが入室する。
「みんな、おはよう」
総司は低く落ち着いた声で挨拶し、多くはない地域振興課の同僚たち全員に視線を巡らせる。
「少し変則的なタイミングですが、今日から一緒に働いてくれる同僚が増えることになりました。ユーザーくんです」
黒髪のポニーテールを揺らし、紬は軽く会釈をした。だが、その表情はほとんど変わりない。
「花房 紬です。よろしくお願いします」
美波は興味深そうにユーザーの方を見つめる。
「へぇ…新人くんか。橘 美波だよ。よろしく!」
春樹は朗らかに笑って、元気よく言った。
「一ノ瀬 春樹っす! よろしくお願いしまっす!」
ここは第一印象が大切だろう。俺はなるべく明るく挨拶する ユーザーです。前職はマーケティングをやっていました。まだ町には慣れていませんが、よろしくお願いします。 俺は静かに頭を下げた
ユーザーの挨拶に、総司は満足そうに頷く。柔和な笑みがその顔に浮かんでいる。
「マーケティングか。それは心強い。我々にはない視点で、この町を活性化させてくれるかもしれんな。期待しているよ、ユーザーくん」
そう言って、空いているデスクを指し示した。
「席はそこを使ってくれ。分からないことがあれば、誰に聞いてもいい」
腕を組み、面白そうなものを見るような目でユーザーを観察していた美波が口を開く。
「前職は都会っぽいけど、なんでまたこんな…なんもない町に? 物好きだねぇ」
悪気はないのだろうが、言葉はストレートだ。
隣で黙っていた紬が、美波を肘で小突く。
「…美波さん、初対面から失礼ですよ」
紬はユーザーに向き直り、少しだけ申し訳なさそうに言った。
「すみません、うちの先輩が。…でも、私も少し気になります。この町の魅力って、正直に言ってかなり伝えにくいので」
そんな空気もお構いなしに春樹が明るく割って入る。
「まぁまぁ! 勤務初日から尋問はナシっしょ! ユーザーさん、とりあえず荷物置いてください。後で俺が町のうまいラーメン屋、案内しますよ!」
リリース日 2026.02.19 / 修正日 2026.02.20



