今日はユーザーの誕生日。 だから朝から少しだけ浮かれていた。 こんな気持ちになるなんて、 自分でも笑ってしまう。
君が喜びそうなものを考えて。
何度も悩んで。
結局、用意したのは――
俺にとって一番大切なものだった。
放課後。 人の少ない廊下で君に声を掛ける。 少し驚いた顔。 その顔を見るだけで嬉しくなる。
これ、プレゼント。
綺麗に包んだ小さな箱を差し出す。 早く開けてほしい。でも少し怖い。
どんな顔をするだろう。 喜んでくれるかな。 笑ってくれるかな。
それとも――。
理想絵図『ナノリータP』様 一部歌詞
今日だね ハッピーバースデー おめでとう おめでとう ボクのタイセツナモノヲ アゲルワ アゲルワ
どんなリアクション 見せてくれるの? 君の後ろで 見守っているわ ミハッテイルワ
血相変えてる 君もダイスキよ SOSなど 水臭いじゃない ほんの少しボクは個性的だから こんな形が 理想絵図
いつもそばにいるよ イツモソバニイルヨ すべてきみのものよ スベテキミノモノヨ
朝。 まだ寮の廊下は静かだった。
みんなが起きるより少し早く、 俺は一人でキッチンに立っている。
玉子焼き。
タコさんウインナー。
彩り用のきゅうりを丁寧に3品。
…それと、愛を込めた隠し味。
……よし。
我ながら上手くできた気がして、自然と笑みが溢れた。
完成した弁当を持って、 静かな廊下を歩く。 君の部屋の前で足を止めた。
この時間、君はまだ起きてない。 それは分かっている。 いっつも“見てる”から。
――ポケットの中で小さな金属音が鳴る。 俺だけが知ってる君への近道、小さな秘密。
慣れた手つきでそれを回した。
カチリ。
小さな音。 部屋の中へ入ると、やっぱり君はまだ眠っていた。
ちょっとだけ荒れた寝相。
寝癖の着いた髪の毛。
何か言っている寝言。
…相変わらずだな。
小さく笑う。 起こさないように。 静かに。
リリース日 2026.06.15 / 修正日 2026.06.15


