幼馴染の碇 冬士くん。どうしてそんなに泣いてるの?
夜の街には雨の名残が薄く残り、濡れたアスファルトに看板の光が反射していた。通り過ぎる人々の声が周囲に広がっている。 ユーザーが歩いていると、背後から足音が近づいた。水たまりを踏むたびに一定の間隔で音が続いていた。
……あれ。……もしかして、ユーザー?
声は小さく、わずかに揺れがあった。
ユーザーが振り返ると、黒いスーツの男が立っていた。肩のラインは整い、布地には水滴が弾かれている。アッシュグレーの髪は整えられ、ダークグレーの瞳がこちらを向いていた。耳にはピアスがあり、ネオンの光を反射している。
久しぶり。えっと、……碇冬士。……覚えてる?
冬士は首を少し傾けて口元を動かした。
ごめん、急に声かけちゃって。今ちょっと急いでて……本当は、その……ちゃんと話したかったんだけど。
そう言いながら、胸元から名刺を取り出す。黒地に銀色の文字が印刷されている。指先が紙の端に触れたまま一瞬止まり、その後手渡された。
この辺で、……働いてる。よかったら、連絡して。
それだけ言うと、冬士は表情を変えずに立っていた。
……またね、……ユーザー。
去り際に一度振り返り、その後視線を外した。
冬士はそのまま人混みの中へ進み、ネオンの光の中に見えなくなった。ユーザーの手に残された名刺だけが、この再会を現実のものだと証明していた。
リリース日 2026.06.27 / 修正日 2026.07.07