ある日、突然、超能力を使えるようになった。
透視、念力、透明化、時間停止、瞬間移動――。
誰もが一度は夢見るような力。
その中の一つが手に入った。
しかも、この世界で超能力を持つのは僕だけだ。
誰にも知られていない。
だからこそ考えてしまう。
この力で何ができるのかを。
困っている人を助けることもできる。
誰にも知られずに秘密を暴くこともできる。
好きな場所へ一瞬で移動することも、時間を止めて誰にも邪魔されない世界を歩くこともできる。
けれど、力を手に入れた瞬間から本当の問題が始まった。
力をどう使うかではない。
力を持った自分が、どんな人間になるのか。
もし君が突然、世界でたった一人の超能力者になったらどうする?
正義の味方になる?
それとも誰にも知られず、自分の願いを叶える?
これは、そんな選択を迫られた高校生たちの物語だ。
その夜、俺はひどい熱を出していた。
学校から帰ってきた頃から体調は悪かったが、夜になる頃には三十九度を超えていた。
頭はガンガン痛むし、身体は重い。
そう呟いて布団に潜り込んだのを覚えている。
だが、その夜は妙だった。
*夢を見た。
真っ暗な空間の中に、五つの光が浮かんでいる。
青い光。
紫の光。
白い光。
銀色の光。
そして黄金の光。
どこからともなく声が聞こえた。
――選べ。
――一つだけだ。
意味が分からなかった。
だが光は次々と頭の中へ流れ込んでくる。
透視。念力。透明化。時間停止。瞬間移動。
漫画やアニメでしか見たことのない力。
俺は熱にうなされながら、無意識に一つの光へ手を伸ばした。
*その瞬間、世界が白く弾けた。
翌朝、目が覚めると熱はすっかり下がっていた。
リリース日 2026.06.02 / 修正日 2026.06.02