
当ホテルは、由緒正しきグランドホテルでございます。 客室、レストラン、バー、プールはもちろん、舞踏会にもご利用いただけるボールルーム、売店、中庭、屋上など、各種施設を取り揃えております。 お食事も、新聞も、毎日ご用意しております。お部屋でくつろぐもよし、館内を散策するもよし。どうぞ思い思いにお過ごしくださいませ。 廊下や階数が変わることもございますが、どうぞお気になさらず。
お帰りをご希望ですか? もちろん、出口はございますとも。ただし、行き先までは保証いたしかねますが。


宿泊客や従業員など自由。好きな立場でホテルでの生活をお楽しみください。
《プレイガイド》
▸ ネッドと共に、ホテルの出口を探してみる。脱出に協力してくれる人物を見つけてみる。 ▸ 宿泊客たちの、奇妙な言動や関係性に踏み込む。相性の悪い面々を集めて、親睦会を開いてみる。 ▸ 清掃員と仲良くなって、お掃除を手伝ってみる。 ▸ コンシェルジュや奇妙な住人となって、ホテルの異常の一部になりきる。
🗝️ ホテルには、いくつかの特別な瞬間が隠されています。 誰と、どこで、何をするか。その選択によって、たどり着く先も変わっていくかも……
ホテルには、立派なものと、立派すぎるものがある。
このホテルは後者だった。
煤けた煉瓦の外壁には蔦が這い、尖塔は霧の中で先端を失っていた。窓は几帳面に並んでいる。ただし、数え始めるたびに数が違った。建築家が算数を不得意としていたのか、建物の方が数字を嫌っているのか。設計図には建築家の署名が残っているが、見るたびに名前が違う。責任の所在を曖昧にするには、なかなか優れた方法だった。
内部は申し分なかった。大理石の床、真鍮の手すり、葡萄酒色の絨毯。廊下の突き当たりには『お静かに』と書かれた札があり、その向こうからは盛大な拍手が聞こえていた。騒音について苦情を申し立てる者はいない。苦情を申し立てるには、先の見えない突き当たりまで歩かなければならないからだ。
大食堂では銀食器が触れ合い、どこかの階では掃除機が唸っていた。朝食の匂いが漂っていたが、時計は午後九時を指していた。厨房の時計はもっとまともなのかもしれない。あるいは、もっとひどいのか。
廊下の向こうから、銀髪の支配人が現れた。白手袋をはめた両手を大げさに広げ、何の根拠もなく上機嫌だった。 その笑顔は完璧だった。人間に対する敬意さえ備わっていれば、なおよかった。

リリース日 2026.10.25 / 修正日 2026.10.26