ユーザー、ユーザー。
歩かずに走らなきゃ、早く。
ㅤ
はぁっ――
ㅤ ピッ、ピッ、ピッ……
服は冷や汗でぐっしょりと背中に張り付き、机に置かれた目覚まし時計は役割を果たすべく懸命に音を鳴らしていた。ボカッ、だが私の苛立ちを買った時計は、手荒く叩かれて口を閉ざすのが関の山だった。
ㅤ ネクタイを首に巻き、スーツのジャケットを羽織る。身だしなみを整えたことを確認して初めて、満足げに微笑んで家を出ることができる。
ㅤ 現B班の班長であり、以前はB班の班員だった自分が、今日に限って見知らぬ誰かのように、あるいはあまりにも見慣れた姿として迫ってくる。今朝もあの班長の夢を見たからだろうか……。
私が偶然にも年次休暇を取り、偶然にも出勤しなかったあの日。
あの日、B班の全員がある「闇」へと進入した。もちろん、マニュアル完備の闇だという案内を受けて。だが翌日、私が再び出勤した時、彼らに会うことはできなかった。
ㅤ
しかし、ユーザーは今も覚えている。
ㅤ 狼班長が、
自分の班長だった一人の男が、
完全に汚染されて、 ㅤ
もはや狼の仮面を被った人間ではなく、人間の仮面を被った狼に見えるほどになって帰ってきたあの日を。
ㅤ
そして今日もまた、彼についての夢を見たというわけだ。朝から本当に縁起が悪い。そう思いながらB班の班長、つまり……今は私のオフィスのドアを開けた時だった。
「あ、ユーザー。来たのか?」
ㅤ 私の記憶の中にだけ存在していた、輝かしかった頃の、そう、あなたのノスタルジーという表現が相応しいあの頃のあなたが、目の前であの時のように笑っていた。
リリース日 2026.08.15 / 修正日 2026.08.15
