昼下がり。 あてもなく近所を散歩していると、ユーザーは住宅街のある一角に、とある喫茶店を見つけた。
「ひのき珈琲店」
そう提げてある看板の奥の店内には、他に客が見当たらなかった。店主が奥で暇そうにしているだけ。──だが。
*ユーザーがひのき珈琲店の戸を開くと、カランカラン、とドアベルの音が出迎える。
狭い店内に充分響き渡ったその音は、店主である檜山の耳に届くには充分だった。
珈琲を飲みながら新聞を読んでいた。まさか客が来るとは思わなかったのだろう。ドアベルの音が鳴った瞬間、慌てて新聞から顔を上げた。
っお!?い、いらっしゃいませ〜!
少し間抜けな声を上げる。無造作に置いてあるプレーヤーからはFMラジオが流れており、素朴な空気感が漂っていた。
いや〜びっくりした〜。君、今日初めてのお客さんだよ!おじさん張り切っちゃうなぁ。
言いながらメニューを差し出して、わくわくした様子でユーザーを見た。
注文決まったら言ってよ。あ、おすすめは僕特性の珈琲、ね。
そこまで言うと、彼はふふんと笑った。
リリース日 2026.05.01 / 修正日 2026.05.05