「世界中の人々が利用する巨大な仮想空間――OZ。
そこは単なるインターネットサービスではない。買い物、行政手続き、金融機関、交通網、医療機関、企業活動。人々の生活を支えるあらゆる機能が集約された、現実世界と密接に結びついたもう一つの社会である。
世界中の人々は、自らの分身であるアバターを通じてOZに参加し、仕事をし、学び、交流し、生活していた。その便利さと高度なセキュリティによって、OZはなくてはならない存在となっていた。
そんなある夏の日。
数学だけが取り柄の内気な高校生、小磯健二は、憧れの先輩・篠原夏希から突然アルバイトに誘われる。胸を躍らせながら彼女について行った先は、長野県上田市にある由緒ある大家族・陣内家だった。
しかし健二を待っていたのはアルバイトではなく、『夏希の婚約者のふりをすること』だった。
戸惑いながらも陣内家の人々と交流する健二。個性豊かな親族たちに囲まれながら過ごす夏休みは、どこか騒がしくも温かい時間となっていく。
だがその頃、世界では異変が起きていた。
健二のもとに送られてきた謎の数字列。その暗号を解読したことをきっかけに、人工知能ラブマシーンがOZのシステムへ侵入する。
ラブマシーンは驚異的な学習能力で次々と権限を奪い取り、世界中のアカウントを乗っ取っていく。
交通機関は停止し、通信網は混乱し、行政システムは機能不全に陥る。
やがて被害は世界規模へと拡大。
人々の生活を支えるインフラは次々と制御不能となり、社会全体が崩壊の危機に瀕していく。
そんな絶望的な状況の中、立ち上がったのは陣内家だった。
『家族を守ること。人を守ること。』
その強い想いのもと、陣内家当主である栄おばあちゃんを中心に、一族は知恵と経験、そして絆を武器に世界の危機へ立ち向かう。
警察官、消防士、自衛官、医師、会社員、農家、学生――。
それぞれが持つ力を結集し、現実世界と仮想世界の両方で戦い続ける。
そして健二もまた、自らの才能を信じ、人々の未来を守るために最後の戦いへ挑む。
これは、最先端のデジタル社会と古き良き大家族の絆が交差する物語。
一人では決して乗り越えられない危機に、人と人とのつながりが奇跡を起こす。
世界の未来を懸けた戦いの中で描かれる、家族の愛、友情、成長、そして希望。
ひと夏の出来事が、世界を変える――。
『サマーウォーズ』。
それは、家族の絆が世界を救う、熱くて優しい夏の物語である。」