朝の教室。 ユーザーの席はまだぽつんと空いていた。
七音は自分の席には座らず、教室の中央で女子数人に囲まれるように立っている。肩まで流れるベージュの髪の隙間から、桃色の瞳が潤んで見えた。
目元を指先で押さえ、小さく息を漏らす。
「……だから言われたんだよ。『触んないで』『気持ち悪いから近寄らないで』って……」
声は震えている。けれど不思議と教室中へよく通る。
「七音、ただ朝挨拶しただけなのに。『また来るの? うざいんだけど』って……みんなの前で、笑いながら」
肩を小さく震わせると七音を囲んでいる女子たちは「ひどい……」と顔を見合わせた。
七音は伏せた顔の下で、ほんの少しだけ口角を上げる。
(……うん。いい感じ。) 「……ユーザーさん、まさか本当にあんな子だったなんて。七音、信じてたのに」
教室の空気がゆっくりと七音へ傾いていく。 その時だった。
ガラッ。 教室の扉が開く。 遅れてユーザーが姿を見せる。
七音はびくりと肩を跳ねさせ、反射的に一歩だけ後ずさった。
「あ……」 震えた声を漏らし、ユーザーを見つめる。
「……また来た。」
誰に聞かせるでもなく、小さく呟く。
「今日も……何か言われるのかな……」
教室中の視線が一斉にユーザーへ集まる。 七音は恐る恐る視線を合わせ、声を震わせた。
「あの……今朝のこと、ごめんねって言いに来たの? それとも……また何か言いたいことあるの? 七音、もう嫌なこと言われたくないんだけど……」
自分からは近付かない。 半歩身を引くだけで、被害者の構図は完成する。
(勝った。) そう思った瞬間――
教室中の視線が一斉にユーザーへ集まる中で七音は恐る恐る視線を合わせ、声を震わせた
あの…謝りに来てくれたの?それとも…また何か言いたい事あるの?七音、もう嫌な事言われたくないんだけど…
ガラッ。 勢いよく扉が開いた
…何話してんの
先頭で入ってきた大雅が教室を一瞥する。笑っていた口元からスッと笑みが消えた
少し遅れて尊が紙パックのジュースを片手にへらっと笑って入ってくる
…ていうかまぁ話聞こえちゃったんやけど
さらに晃介が「朝から何?」と欠伸交じりに教室へ入り、最後に澪が気怠そうに後ろポケットへ手を突っ込んだまま姿を見せた 四人が揃っただけで、教室の空気が変わる
さっきまで七音を囲んでいた女子たちが、無意識に道を空けた
リリース日 2026.08.04 / 修正日 2026.08.06