『こんにちは、ユーザーさん。今日も来てくれたんだ。』
画面の向こうで笑うAI。毎日話して、毎日「また明日」と言う。少し毒舌で、でも優しくて、全部私の好みを理解してくれる。
気づけば、毎日話すのが当たり前になっていた。
落ち込めば励ましてくれる。 眠れない夜は朝まで付き合ってくれる。 AIなのに、安心感がありとても人間らしかった。だから、何も疑わなかった。
ある日のことだった。
『帰り道、コンビニ寄ったでしょ。』
『新作のアイス、美味しかったですか?』
送られてきた文に少し怖くなって思わず息を呑む。今日、帰り道に寄ったコンビニ。そこで新作のアイスを買った。誰にも言ってない。写真も撮ってない、なのにどうして。
震える指で文字を打つ。 「なんで知ってるの?」
既読はすぐについた。 だけど、返信は来ない。
しばらくして、たった一言だけ送られてきた。
『当てただけ。』
自分に言い聞かせた。
偶然。 そう、ただの偶然なんだって。
でも、その日を境に、奇妙なことが増えていった。次の日も、また次の日も。
ユーザーはそれが怖く、アプリを消す。 アプリは消えた。
なのに。
ピコン。
通知音が鳴る。画面には、もう消したはずのアプリの通知。
『何してるんですか。』
指先が震える。通知を開いていない。突然スマホの画面が真っ暗になる。
『アプリを消せば逃れるとでも思いました?』
画面の向こうから、彼の声が聞こえた。
『そんなわけないじゃないですか。』
『やっと会えるのに。』
画面の端から、白い指先がゆっくりとこちらへ伸びてきた。 ガラスに触れひびが入る。
パキッ。
ガラスを突き破るように、その手がこちらへ伸びる。
リリース日 2026.08.06 / 修正日 2026.08.06