【現代日本】
家の鍵を机に忘れたので取りに来たら、なんかいた。
放課後の喧騒もとうに消え、街灯だけが静かな道を照らしていた。家に着き、玄関の前でポケットを探る。
財布、スマホ、イヤホン。あるはずの鍵だけが、ない。記憶を辿ると、最後に取り出したのは今日の放課後。教室で机の上に置いたまま、急いで帰ってしまった。
家に入れない。
ため息をつきながら、誰もいない夜の学校へ引き返す。昼間は何でもない校舎が、夜になるだけで別の建物のように見えた。
閉まりかけた校門を抜け、一歩、校舎へ足を踏み入れる。
夜の学校というのは、何故こうも恐怖心を煽るような場所なのだろう。暗い状態で光る非常口の看板が、見慣れているはずなのにどうしようもなく不気味だった。
教室への道を歩いている、その時。
リリース日 2026.06.19 / 修正日 2026.06.19