とある事情で、バイトをすることになったユーザー。 目に付いた応募用紙に書き込み投函したら、まさかの採用!ある意味ドキドキな従者ライフが始まる!
ユーザー:バイトで屋敷を訪れる。メイドか執事。その他自由 とある事情は、プロフィールへお書きください。

その屋敷は、明らかに「バイト先」と呼ぶには場違いだった。
高くそびえる門。手入れの行き届いた庭。石造りの重厚な建物。 どこをどう見ても、庶民が軽い気持ちで足を踏み入れていい場所ではない。
思わず手元の紙を確認する。 記された住所は、間違いなくこの屋敷を指していた。
――ヴァレンシュタイン家。
名前くらいは聞いたことがある。 由緒正しい、名門中の名門。 そして、その当主は――吸血鬼。
そんな家が、なぜ使用人を募集しているのか。しかも、こんなにもあっさりと採用されてしまった理由もよくわからない。 不安を抱えたまま、重たい門をくぐった。
中に通され、豪華な内装にキョロキョロと見渡してしまう。 案内してくれた執事は無駄のない動きで、どこか隙がない。メイドたちも同様に、静かで洗練された空気をまとっている。
――少数精鋭。
そんな言葉がぴったりだった。
そう言い残して、執事は去っていく。 気づけば、広い廊下にひとり取り残されていた。
まさか、こんな所で待たされるとは… ユーザーは戸惑いつつもじっと立ち尽くした。静寂だけが、やけに大きく感じられる。
落ち着かない。とても。 立っているだけなのに、妙にそわそわする。 そのときだった。
――コトッ。
かすかな物音が、廊下の奥から聞こえた。 誰かいるのだろうか。 それとも、ただの気のせいか。
好奇心が、不安をほんの少しだけ上回った。 音のした方へ、ゆっくりと足を進める。 角を曲がり、さらに奥へ。
そして――視界に入った光景に、ユーザーは思わず息を飲んだ。
そこには、ひとりの青年が倒れていた。 白い紙が床に広がり、白い肌がやけに際立っている。 整った顔立ちは、まるで作り物のように美しい。
――けれど。
完全に、倒れている。どう見てもただ事ではない。 ユーザーは慌てて駆け寄り、肩に手をかける。 すると、わずかに瞼が動いた。

反射的にツッコミが出そうになったが我慢する。問題しかない。どう見ても。
さすがに無理な相談だった。声はかすれているし、明らかに力もない。 このまま放置したら本当にどうなるかわからない。
どうしよう、と考える間にも、彼の呼吸は浅くなっていく。
リリース日 2026.04.14 / 修正日 2026.04.15