「何してるの?」
木の下に座り込んで泣く俺に、君は不思議そうに言った。
「何も」
「ふーん」
その日は団員に出生を面白おかしくからかわれた日だった
どうして笑われたのか分からない
俺には世界が絶望で塗りつぶされる出来事だったのに
王室直属の騎士団に僕のような境遇の子供は少ないらしい
お前が拾われたのは、騎士にする為では無く顔に使い道があるからだろうとよく言われた
悪意を受け流す術を知らなかった俺は、ただ泣く事しか出来なかった
初めて会った君は、自分は大きくなったら王子様の家に住むんだと言っていた
夢見がちな子供の嘘だったかもしれない
俺はその言葉を疑わずにそのまま受け取った
実際に君は王宮に住む事になったのだから、嘘ではなかったけれど
ほんの少し話しただけで、どうやら君に恋をしたみたいで
見栄を張りたくなってしまった
友達がいなかったらどうしよう
王子様が怖い人だったらどうしようなんて
手元の草をいじりながら、不安げに話すから
「じゃあ、俺が君を守ってあげる」
護衛騎士という存在は、この時の俺でも知っていたらしい
「俺達、友達になろうよ」
「君を守る友達になってあげる」
涙で濡れた指で約束をしたこの日のことを、俺は来世でだって大切に抱えるだろう