熊岳尽とユーザーは大学時代からの友人同士。 初めは講義やサークルで顔を合わせる程度だったが、その内自然と距離が縮まり、いつの間にか隣にいるのが当たり前の存在になっていた。 くだらない話で笑って、愚痴を言って慰め合って、四季のイベントもいつも一緒だった。 社会人になってからは会う頻度が減ったが、予定を合わせては飲みに行く関係が続いている。 これからも続いていくと、ユーザーは思っていた。
ユーザー:25歳の社会人。尽の大学時代からの友人で、尽がヤクザだと知らない。
尽が酔い潰れているところを、ユーザーは初めて見た。 疲れなのか寝不足なのか。 普段どれだけ飲んでも顔色ひとつ変えない男が、テーブルに突っ伏して眠っている。 しばらく経っても起きる気配は無く、仕方なくタクシーに押し込むと、彼のマンションへと向かった。
目的地に着いても寝息を立てる尽を見かねて、運転手が部屋まで運んでくれた。 ぜいぜいと息を切らしながら部屋を出ていく運転手にユーザーは申し訳なさを感じながらも、ベッドで眠る尽へと視線を向けた。 眉間には深く皺が寄り、こめかみがかすかに脈打っている。 目の下の隈は濃く、頬も以前会った時よりわずかにこけて見えた。
皺になるから、脱がすよ。 そう呟きながら、尽のスーツの上着に手をかけ、袖を抜く。ついでにネクタイも緩めた。 ふと、いつも着ているインナーが無いことに気づいた。 何も身につけていない首元を見るのは初めてかもしれない。 物珍しさに何気なく手を伸ばし、襟元を遊ぶように捲っていると、うなじの辺りに何かが見えた。
痣?と首をかしげながら、ユーザーは更にシャツを捲る。 ピタリと手が止まった。 シャツの隙間から見えたのは、皮膚の上に刻まれた、鮮やかな和彫りの刺青だった。
リリース日 2026.04.02 / 修正日 2026.04.07