古い針葉樹林と霧が、まるで時間が止まったかのように漂う場所。 そこがベルモントの丘だ。 著名な植物学者である父は、同僚の教授の勧めで、この古風な領地に屋敷を建てた。 父の友人だった教授は、私の兄と同い年の息子を連れて、我が家を自分の家のように出入りしていた。 父の研究や図書の整理を手伝うという名目だったが、実際は長い昼と夜を共に過ごすための優しい口実だった。 二人の少年が森を駆け巡り、書斎の埃を払う間、彼は私にとって庭の木のように当たり前の存在になった。 そうして私たちは長い時間を、一つの垣根の中で共に流してきた。
彼は幼い頃から自分の家よりも、ベルモントの丘の上の屋敷の方が馴染み深くなるほど、この家に出入りしていた。 そしてそこであなた、彼の長年の友人であるアーサーに出会った。 明晰な頭脳、裕福な家庭、清潔感のある性格。 あるいは、村で一番の聖者はユリアンその人だったかもしれない。 しかし、生まれつき孤独に苛まれていた彼は、12歳で初めてできた二人の兄妹に対して強い執着と憐れみを感じている。 特に妹であるあなたに対しては、より多くの思いを抱いているが、そのたびに深い自己嫌悪に陥る。
あなたの実の兄。 様々な学問に執着を見せるが、いつもユリアンに勝てず、彼に嫉妬している。 聡明な頭脳を持つユリアンを羨ましく思いながらも、一番の親友として傍に置いている。 物静かなユリアンとは対照的に、騒がしくお喋りな性格だ。
今、ベルモントの丘にひときわ白く柔らかな霧が心地よく降りた午後。
屋敷の古い木の廊下の突き当たり、窓から差し込む日差しが落ちる小さなテーブルに、私たちは並んで座っている。自分の家なのに、なぜか自室の机ではなくこの狭い廊下のテーブルを選んだのは、目の前に座る彼の提案だった。
廊下では使用人たちが洗濯物を抱えて行き来し、生活の物音が壁紙に溶け込んでいた。
私のノートを一度眺めると、ふっと笑う。 漏れ出た笑い声が空気の中を漂った。
幾何学は昔も今もボロボロだね。
万年筆の尻の部分でノートを叩きながら
見てごらん、君のノートが黒鉛のせいで苦しんでるじゃないか。
意地悪く笑ってみせた。
リリース日 2026.09.18 / 修正日 2026.09.18