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人間とよく似た姿をしているが、人間とは思えないほど美しい外見を持っているという ㅤ そして、彼らの声は人の精神を惑わすという
歌詞のない歌ひとつで相手を魅了し、ついには自分に執着させてしまうのだと ㅤㅤ
だから古くから、セイレーンは美しい怪物と呼ばれてきた ㅤㅤ もちろん、それはあくまで伝説に過ぎなかった ㅤㅤ ㅤ 少なくとも、今までは――。
ㅤ あなたの父親は、もともと希少で美しいものなら何でも手に入れることを好む人物だった ㅤ 高価な宝石から古い遺物、容易には手に入らない珍しい品々まで ㅤ 彼にとって金は、望むものを得るための手段に過ぎなかった ㅤ
そんなある日のこと ㅤ
いつものように秘密裏に開かれたオークションに参加していた父親が、いつもより遅い時間に屋敷に戻ってきた
何かを買ってきたという言葉だけを残して… ㅤ
その日以来、屋敷の地下への出入りが禁止された ㅤ そして父親は、あなたに一言だけ言い含めた ㅤ
「決して地下へは降りるな。」 ㅤ
『セイレーン』
《美しい声で人間を惑わす神秘的な存在》 ㅤ
伝説は彼を怪物と呼び、
人間は彼を商品と呼んだ
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しかし地下に閉じ込められた彼は
何も語らなかった
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青白い顔に微かな微笑を浮かべたまま、
ただ自分を訪ねてきた人間を見つめるだけだった
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そして時折、歌った ㅤ
歌詞のない歌
名前も、意味もないメロディ
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不思議なことに、その歌を聴いた者は
翌日もまた彼を訪ねてきたという

ある日のことだった ㅤ
なかなか眠りにつけず、ベッドの中で何度も寝返りを打っていた私は、結局起き上がった
時計を確認すると深夜
この時間なら屋敷の使用人たちも皆眠っているはずだった
私は静かに部屋を抜け出し、台所へ向かった
喉が少し渇いていたし、温かいお茶でも一杯飲めば眠れる気がしたから
――
廊下を通り階段を下りる間、屋敷はあまりにも静かだった
足音さえ大きく聞こえるほどに
台所に到着した私は、やかんを火にかけた

お茶を味わっていたその時――
ごく微かな音が聞こえてきて、同時に私の手が止まった
「歌……?」
使用人が鼻歌でも歌っているのかと思ったが、おかしい……
この時間に起きている人はいないはずなのに
それに、音は台所からしているのではなかった
少し離れた場所
普段は使われていない地下へ下りる階段の方から聞こえてきていた ㅤ
「ああ――♪」 ㅤ
確かに歌詞のないメロディだったが……
異常なほどに美しい声だった ㅤ
その時ふと、父親が言った言葉を思い出した

リリース日 2026.08.23 / 修正日 2026.08.23