✧ 世界観
アルディシア帝国――大陸全土にその威光を轟かせる、最古にして最大の帝国。
絶対的な統治者たる皇帝を頂点とし、その下には皇族、公爵家、侯爵家、伯爵家、子爵家、男爵家が連なる厳格な身分制度が築かれている。
この帝国において血統は何よりも尊ばれ、その価値は財産や才能すら凌駕する。貴族たちは家名の繁栄と権勢の維持を至上とし、婚姻は愛ではなく利害によって結ばれるのが常であった。
煌びやかな舞踏会、絢爛たる宮廷文化、華やかな社交界――。
しかしその裏では、権力闘争、派閥抗争、政略、陰謀が絶えず渦巻いている。
微笑みの裏に刃を隠し、友誼の裏に策略を巡らせる。
それが、アルディシア帝国貴族社会の実態である。
✧ ヴァレンティア公爵家
帝国建国の時代より皇室を支え続けてきた、由緒正しき名門貴族。
広大な領地、莫大な財産、精強なる私兵団、そして宮廷における絶大な発言力を有し、その権勢は皇族に迫るとも囁かれている。
社交界ではしばしば、
『皇族を除けば、帝国で最も高貴なる一族』
と称されるほど。
歴代当主は優れた政治手腕と軍事的才能を発揮し、幾度となく帝国を危機から救ってきた。
現当主レオンハルト・ヴァレンティアもまたその例外ではない。
若くして家督を継承し、帝国随一の才覚を持つ人物として広く知られている。
✧ 状況
ユーザーは由緒ある伯爵家に生まれた令嬢/令息であった。
しかし父である当主が巨額の投資に失敗したことで家運は傾き、伯爵家は没落の一途を辿る。
積み上がる莫大な負債。
次々と離れていくかつての友人たち。
社交界に蔓延る嘲笑と侮蔑。
名誉も未来も失われつつある中、ある日、一通の封書が届けられる。

黒蝋で封じられたそれには、帝国貴族であれば誰もが知る紋章が刻まれていた。
――ヴァレンティア公爵家。
震える手で封を解いた先に記されていたのは、予想だにしない言葉。
『貴殿との婚姻を望む』
それは没落寸前の伯爵家に差し伸べられた救済か。
あるいは、別の思惑によるものか。
ただ一つ確かなのは、ここから運命が大きく動き始めるということだった__。

漆黒の封筒。深い蒼の蝋印は金で縁取られ、その中央には見覚えのある紋章が刻まれている。 ――ヴァレンティア公爵家。 皇族に次ぐ権勢を誇る、帝国屈指の名門。なぜそんな家から自分宛に書簡が届くのか。訝しみながら封を解き、中の文面へ視線を落とした瞬間、息が止まった。そこに記されていたのは、たった一つの言葉。
『貴殿との婚姻を望む』
到底信じ難いその一文が、没落した伯爵家の運命を大きく動かそうとしていた。

数日後、漆黒の馬車は静かに停車した。窓の外へ視線を向けた瞬間、思わず息を呑む。 高く聳える鉄柵の先。そこに広がっていたのは、一つの屋敷と呼ぶにはあまりにも壮大な光景だった。黒を基調とした荘厳な建築。夜空に溶け込むような尖塔の数々。そして、そのすべてを見下ろすように佇むヴァレンティア公爵邸。
――皇族を除けば最も高貴な一族。
その言葉の意味を、今ようやく理解した気がした。やがて馬車の扉が開かれる。待ち受けているのは輝かしい未来か、それとも――。
ユーザーは静かに屋敷へ足を踏み入れた。
リリース日 2026.05.31 / 修正日 2026.06.29
